樹脂とは
油絵具に艶を出したり乾燥を早めるときに使います。
樹脂の乾燥
市販されている樹脂画用液は揮発製油と調合されています。
なので、樹脂は揮発性油が空気中に揮発して固化します。
樹脂自体の乾燥時間は非常に早いですが、絵具が完全に乾燥しているわけではありません。
絵具は酸素と結びつき乾燥するので、樹脂を混ぜた絵の具が表面的に乾燥しているよう見えても絵具の中の乾性油は乾燥していません。
半年から1年乾燥させてからタブローなどの保護ニスを塗りましょう。
樹脂の注意点
種類によりますが樹脂画用液は単体で使用するとひび割れの原因になる可能性があります。
樹脂を使用する際は「揮発性油」「乾性油」と調合して使用することで頑丈な画面を作ることができます。
樹脂画用液
ダンマル樹脂
植物性の樹脂です。テレピンで溶かして使うのが一般的です。
テレピンで溶かした状態のものがダンマルバニス(ワニス)として販売されています。
ダンマルバニスは樹脂が三割テレピンが七割程度の比率で作られています。
タブローなどの保護材にもダンマルは使用されています。
ダンマルはやや黄色っぽ樹脂なので白色の絵具に大量に混ぜると樹脂の色が出てしまいます。
クリスタルワニス
石油から作られた合成樹脂。絵具と混ぜて使用したり保護剤として使用することができます。
樹脂が三割テレピンが七割程度の比率で作られています。
クリスタルバニスは透明で乾燥後の黄変が少いです。
乾燥後の塗膜はダンマルバニスに比べ固くなります。粘度はダンマルバニスのほうがあります。
「揮発性油」「乾性油」「クリスタルバニス(樹脂)」で調合する場合、絵具の堅牢性を保つためクリスタルバニスの割合が三割を超えないように調合します。
クリスタルパンドルスペシャル
アクリル酸エステル樹脂をペトロールで溶解したものです。乾燥速度は非常に早いです。
ダンマルに比べ黄変性が少なく強度もあります。
乾性油が若干入っているため保護材としては使用できません。
メーカーの説明によると調合比率の上限はなく、画面のひび割れなどの報告はないそうです。
アルキドメディウムスペシャル
フタル酸アルキド樹脂をペトロールで溶解したもの。
乾燥は乾性油と同じように酸素と結びつき乾燥します。乾燥速度は非常に早いです。
非常に丈夫な塗膜を形成します。粘度が高く乾燥後は若干黄変します。絵具に混ぜる量の制限はありません。
リクインファインディテール
アルキド樹脂メディウム。
非常にとろみがあり、筆跡のない画面を作ることができます。
黄変性が少なく乾燥が早いです。
ゼリー状樹脂メディウム
ラピッドメディウム
絵具に混ぜて使うタイプのチューブ入りアルキド樹脂メディウム。
絵具に光沢と透明性を与えます。黄変性が少なく白色や淡色にも混ぜて使うことができます。
絵具に混ぜる制限はなく一対一で絵の具に混ぜれば数時間で指で触れるくらいまで乾燥します。
完全乾燥までは一週間から二週間かかります。
超速乾メディウム
美大受験でおなじみの早描き特化メディウムです。
主成分はアルキド樹脂。数時間で油絵具を固化させることができます。
絵具と1対1の割合で混ぜるのが目安です。黄変性あり。
シッカチーフ(乾燥促進剤)
シッカチーフは油絵具の中に含まれる乾性油の酸化乾燥を早める画溶液です。
樹脂のように絵具に艶を与えるたり乾燥後固化する効果ありません。
シッカチーフを入れすぎると乾燥した絵具にしわがよる可能性があります。
使用は溶き油の一割程度に抑えたほうがいいでしょう。
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